日本のウェブ制作会社が世界でできること――なぜ今、ロンドンなのか 

テックシティ・ロンドン

テックシティ・ロンドン

TAM Londonは2016年の10月、イギリスはロンドンで産声をあげました。本社は日本のデジタルプロダクションTAM。現在、大阪と東京に拠点を置くほか、シンガポールに支社(TAMSAN)を、そしてサンフランシスコにもオフィスを構えています。グローバルに事業を展開していくなか、ロンドン事務所はヨーロッパでの活動の中軸となるべく設立されました。

ヨーロッパの中でも、なぜロンドンに注目するのか――。それにはいくつかの理由があります。

 

ロンドンはヨーロッパ随一のテックシティである

ロンドンをイギリス版のシリコンバレーにする――。英国のキャメロン前首相が「テックシティ構想」と呼ばれる大きな方針を打ち出したのは2010年のことでした。この構想は、ロンドンオリンピックを境にトレンドにのり、そのうねりは年ごとに大きくなっていきました。とりわけその中心地となった東ロンドンの発展は目覚ましく、テックシティUKの公式データによれば、現在、東ロンドンだけでテック企業が約5000社(2015年)あるといいます。また、2010年から2013年の間には、インナー・ロンドンだけでデジタル系の会社が92%も増え、雇用者の数も今では25万人以上となりました。

その魅力に引き付けられるようにして、2012年にGoogle Campus (London)が設立されたことも話題になりました。ここはトレンドエリアのショーディッチにある、Googleによる起業家支援のためのスペースで、登録メンバー数は現在30000人を超えているとか。地下にあるカフェ空間では、デスクやWi-Fiが無料で利用でき、起業家たちのハブとして機能しています(そのために朝一番に行かないと席がないほど……)。

わたしも一度、同施設が主催するMeet Upに参加したのですが、参加者らのダイバーシティに圧倒されました。このイベントのためにロシアから来たというエンジニアがいれば、フランスから来たデザイナーもいる。さらにはイタリアの投資家まで。それほどこの場所にかけられている期待が大きいのだと感じました。Googleといえば、余談にはなりますが、先日、「ロンドンに新しいHQ(本社)を設立し、現在4000人の従業員を2020年までに7000人にまで増やす」と発表して話題に。その投資額は100億ポンド(2016年11月時点のレートで約1.4兆円)にも及ぶのだとか。彼らにとってもやはり、ロンドンは魅力的な都市であり続けているようです。

このほか、EDCi(European Digital City index)というEUのコミッションも正式認定している指標によれば、デジタル分野での起業をサポートする都市としてロンドンは堂々の1位を獲得しています。このように、世界的にテクノロジー都市としてロンドンのプレゼンスはますます高くなってきています。

Googleの新HQがやってくるキングスクロス/セントパンクラス駅

Googleの新HQがやってくるキングスクロス/セントパンクラス駅

 

世界で三番目に大きい――イギリスのインターネット広告市場

 

また、さらに注目したいのは、インターネット広告分野に限るとイギリスが世界第三位の広告消費国だという事実です(一位はアメリカで二位は中国)。例えば、日本とイギリスにおける2015年度の数字を比べてみましょう(以下、イギリスはAdvertising Association、日本は電通のデータを参考にしています。なお、ポンドは2015年の年間の平均レート1ポンド=185円で計算)。

全体の広告費では日本が約6.2兆円に対し、イギリスは約3.7兆円。やはり電車のつり革にまで広告が貼られているだけあって、日本の広告全体における予算規模は抜きんでています。一方、インターネット広告に目を向けると日本が約1.15兆円のところ、イギリスは1.6兆円近くあり、日本よりも多い。イギリスでは広告費で断トツのシェアを誇るのがインターネットで、全体の40%以上を占めているのです。ちなみに、イギリスではテレビの広告費は1兆円にも満たない。プロモーションの手段としてインターネットがいかに積極的に利用されているかがわかります。インターネットが、広告マーケットとしてより大きく、媒体としてより生活の中に浸透している事実は非常に大きなポイントであるととらえています。

参考 Advertising Associationウェブサイト / 電通のリリース  

 

活きのいいスタートアップやフリーランスが集まる

MoorgateにあるWework。ここの1階で頻繁にイベントが行われている

MoorgateにあるWework。ここの1階で頻繁にイベントが行われている

そして最後に、この都市の活気について触れておきたいと思います。上述の通り、「テックシティ」計画が功を奏し、テクノロジー系の企業を中心に、ロンドンには多くのスタートアップ企業がスケールを目指して奮闘しています。しかし、それだけではありません。ここでは多様なスタイルで働く人たち(フリーランサーなどの個人)も集まってきており、独自のエコシステムを構築しています。

例えば世界的にも有名なWework。もとはニューヨークが発祥の、コワーキングスペースを提供する企業ですが、ロンドンでも急成長中で現在14のオフィススペースを展開しています。そのうち東ロンドンのMoorgateにあるものは世界最大のコワーキング空間といわれており、利用する個人・企業は3000を超えるのだとか。Weworkではさまざまなイベントやワークショップが常に催されていて、ここからコネクションなどを作り、ビジネスにつながっていくケースが後を絶たないそうです。

これを聞いて私がイメージしたのは、3000人のプロフェッショナルたちが有機的につながり、自らの強みでだれかの弱みを補いながら(だれかの強みで自らの弱みを補いながら)プロジェクトごとにチームを組んでスケールしていくという、会社という大きな枠組みを超えた働き方でした。Weworkだけではありません。ロンドンにはこうしたコワーキングスペースがたくさんあります。

 

以上に見てきたように個人が主体となっていかにビジネスに取り組めるか、という点については我々も常に意識的でありたいと考えています。世界有数のテックシティ・ロンドンの大きなマーケットの中で、独自の色を出しながら他社(他者)と有機的につながり仕事をしていく――。お気軽にお問合せ下さい。イギリスのデジタルプロダクションTAM Londonをどうぞよろしくお願いいたします。

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YUICHI ISHINO