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イギリスで会社設立する方法(進出準備から法人登記まで)

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イギリスで会社設立する方法(進出準備から法人登記まで)

YUICHI ISHINO

イギリスで会社設立ーー手続きは簡単!?

日本のデジタルプロダクション/エージェンシー、TAM。TAMLOはその英国子会社として2017年5月にイギリスでの法人登記を完了しました。前年の2016年秋にロンドンに事務所を構えてからすでに営業はしていましたが、この度、万全の体制が整う運びとなりました。今回は、ここに至るまでのプロセスを紹介できればと思います。英国ならびに欧州進出を検討される企業のみなさまの参考になれば幸いです!

   

 

 

 

会社設立前に! イギリスでの労働ビザの取得について

イギリス進出を前に、まず気になるのが労働ビザの取得についてではないでしょうか。先に断っておくと、この点について「取得しやすいノウハウ」というものはないと感じています。また、それぞれの会社の事情や方針によってとるべき施策も異なってくるはず。代表的なオプションとしては以下が思いつきます。

 

・現地で労働許可を持った人(必ずしも日本人である必要はないと思います)を探す

・起業家ビザ(アントレプレナービザ)を取得する

・ソールレプレゼンテイティブビザ(ソールレップビザ)を取得する

・特殊技能保持者向けのビザを取得する

 

おそらく、この他にも状況に応じて様々な方法が考えられうるので、英国への進出を考えられる場合は英国大使館(もしくは英国総領事館)の国際通商部に相談されることを強くオススメします。TAMLOの場合は英国総領事館に担当いただきましたが、ビザに関わらず手厚いサポートをしていただきました。

英国大使館(英国総領事館)国際通商部のウェブサイト>> 

 

このほかロンドンに限った話ではありますが、「ロンドン&パートナーズ」という市の行政機関でも日本語でアドバイスがもらえます。外国からロンドンへの企業誘致、観光、留学をサポートする目的で作られた組織ですが、情報を収集するにはもってこいかと思います。

ロンドンアンドパートナーズのウェブサイト>>

 

ロンドンで会社のオフィス(登記用住所)を決めるーー英国のコワーキングスペースってどうなの?

TAMLOではコワーキングスペースを利用しています。コワーキングスペースは近年日本でも知られるようになってきましたが、欧米ではすでに定着したサービス。規模の大小を問わずあらゆる企業がオフィスをシェアして働くーーこれを実現する空間となっています。多くのスペースがそれぞれに特色を出していますが、どの企業もネットワーキングに魅力を感じてコワーキングを選択しているように思います。

 

われわれも、まずはSwiss Cottageという閑静な場所にあるコワーキングスペースで営業を開始。約1年が経ち、2017年8月にはクリエイティブ系の企業が多く集まるLondon Bridgeエリアへと引っ越す予定です。

 

なお、オフィスの住所が「郵便の受付」や「登記」に使えるかは非常に重要です。契約の際にしっかりと確認することをオススメします!

 

登記の前に会計士を決めるーー日系がいい?ローカルがいい?

さて、英国での会社経営が初めての場合、頼りにしたいのが会計士さんの存在。とはいえ、どうやって自社に合う会計士さんを探していけばいいのでしょうか。私の場合、最初の一歩の踏み出し方さえわからず、とても不安でした。

 

相場から理解しなければいけない、そう考えて、まずは日系の会計士さんをあたっていきました。私が調べた限りロンドンには、日本人の会計士さんが数名いらっしゃいました。いくつかにアポを取り、実際にお会いする中で、なんとなく相場もわかって来ました。みなさん丁寧に話を聞いていただき、また日系企業との取引の実績も持っていらっしゃるので安心感がありました。相性に合わせてここで決めるのもアリでしょう。

 

ただ、われわれの場合、なるべく早く現地化するべきだとの考えから、ローカルの会計士さんにもコンタクトをとりました。信頼できる方を探すのには人脈が必要ですが、最終的には知り合いの紹介でローカルで自社にぴったりの会計士と出会うことができました。(※大企業になればまた別のアプローチになると思いますので、中小企業の話だと差し引いてご理解頂ければと思います)

 

ちなみに余談ですが、事業の規模にはよるものの、ローカルの会計士は比較的割安の印象です。

 

会計士との会話からわかったこと

会計士との会話からいろいろわかった「イギリスならでは」のことがあります。そのなかで、検索したけどあまり出てこなかった情報だけピックアップしておきます。

 

まずはVATナンバーの取得について。VATとはいわゆる付加価値税のこと。年間の売上が85000ポンド以上であれば必ず登録しなければなりません。この会計コストがややかかります。売上85000ポンド以下であれば登録する義務はないのですが、「それだけの売上なんだ」と見られるデメリットもあるので、慎重に検討してください。

 

それから監査(Audit)の実施基準について。Companies Act 2006というレギュレーションが参考になります。以下の場合に限り、監査を免除されます。(なお、単体ではなくグループ全体として、という条件のようです。こちらも改めて会計士にご確認ください)

 

・an annual turnover of no more than £10.2 million 年間売上が10.2百万ポンド以下

・assets worth no more than £5.1 million 資産価値が5.1百万ポンド以下

・50 or fewer employees on average グループ各社の従業員が平均で50人以下

 

詳しくはこちら条件について書かれた政府のサイトを参考の上、会計士に相談されることを強くオススメします。

 

イギリスで会社を登記する(カンパニーハウスから)

さて、われわれは以上のような手順で、会計士を決めたあとに法人登記の手続きに入りました。イギリスでの会社設立はほかの国と比べても比較的ハードルが低く、イギリス人でなくても容易。オンラインで全てが完結するので、時間も短時間でできる場合がほとんどです。

 

まずはCompanies House(カンパニーハウス 法人登記する機関)のウェブサイトをひととおり読んでみてください。必要なことについて、分かりやすくまとまっているのがわかるかと思います。

 

代表者の名前、パスポート、株式をシェアするパートナー、住所、資本金についてなど、基本的な情報をまとめたら、オンラインでの会社登記はカンパニーハウスのこのページから。資本金は1ポンドから可能、登録料はたったの12ポンドです(2017年5月現在)!

 

これが30分で終わるよ、という人もいるぐらい簡単。「え、もう終わり?」というのが多くの人の感想です。ちなみにわれわれの場合も、会計士との打ち合わせの流れですぐに終わってしまいました。ですので、各企業の事情や業態にもよるとは思いますが、「あまりこれに関しては心配しないで!」と言いたいです(笑)

 

イギリスで法人向けの銀行口座を開設するには(2017年の最新情報)

個人でも法人でも、イギリスで銀行口座を開けるのは大変だという話をよく聞きます。実際、われわれに先行して英国で法人を立ち上げられた日系中小企業の方々に話を聞くとかなり面倒だった、時間がかかったと口にされることが多かったです。

 

そういったわけで、われわれも銀行口座の開設にかなりビビっっていたのですが、これが杞憂に終わりました。というのも、最終的には、1週間もかからずに口座を作ることができたからです。いったいどういうことでしょうか?

 

実は、ここで助け船を出してくれたのが英国総領事館国際通商部の方々です。本国の国際通商省に在籍する銀行関係の担当者をご紹介いただき、この方からいろいろとアドバイスを聞くことができました。まずはメールでやりとりし、電話での相談日を決めます。当日はある程度の会社の情報を準備しておき、こちらからコール。会社の規模や人数、売り上げ、子会社の代表者のビザステータスなどをお知らせした後に、具体的にどう銀行が最適か、どういうプロセスがあるかのアドバイスをもらいました。

 

サジェストいただいたなかにはHSBCやバークレー、ロイズなど旧来型大銀行の名前もありましたが、とりわけわれわれの目を引いたのが「Tide」と「My Cash Plus」というサービスです。「Tide」は今年始まったばかりの「モバイル(スマホ)だけ」で全てが完結するアカウント、「My Cash Plus」はオンラインの銀行口座です。TAMLOもデジタルエージェンシーということで、新しい技術やサービスには目がありません。何よりフィンテックの恩恵で、旧来の銀行に比べて審査もスピーディにされるというおまけつきです(審査が緩いという意味ではありません)。ここはひとつ試してみるしかない、ということで両銀行にアプライ。なんと、「My Cash Plus」は1日で、「Tide」はわずか一週間で審査が通り、ぶじ開設となりました。もし、子会社設立が1年早ければこうしたサービスがなかったので、本当にラッキーでした。テクノロジーに感謝!(なお、誤解のないように付記すると、英国総領事館は銀行口座開設の手続きをサポートしてくれるわけではありません。あくまでオプションを教えてくれるのみです)

※金融商材を扱う分野など、「Tide」および「My Cash Plus」では一部制限のある業態があります。

 

とっても簡単だった銀行口座の開設。フィンテックに感謝!

では、ちょっと感動するほどスムーズだったので、「Tide」についてだけ補足情報を記しておきます。(すみません!セキュリティのためだと思われますが、「Tide」アプリの仕様上、スクリーンショットが撮れないようになっています。そのためテキストのみでの解説になります)

 

まず、先にも述べた通り「Tide」はスマホ一台で完結するサービスです。ですので、まずは会社の代表者名義の携帯(スマホ)を用意する必要があります。ぶじにスマホが手に入ったら、「Tide」アプリをダウンロードしてください。すると開始画面からHelp画面に飛ぶことができます。ここでこのアプリが優秀なのは、すべてアプライ前に、自社のシチュエーションで登録が可能かチャットで質問ができるところです。私は事前にチャットで質問をしまくりました。「日本の会社だけど(外資になるけれど)大丈夫か?」「われわれのビザステータスはこんな感じだけれど大丈夫か?(イギリスで労働が許可されるビザが必要です)」など。だいたい次の日までには返事があるので、待たされるストレスもなく始まりから非常にポジティブな印象を受けました。

 

さてひととおり私からの質問が終わった後、応募の手続きに入ります。まず、自分の会社の情報を入力します。登記時に会社番号が発行されているのでこれを提供。するとCompanies Houseから情報が引き出され、「TAMLOのIshinoさんですか?」とサジェストがあります。「Yes」で返すと、今度は 携帯のカメラからセルフィー撮影。自分の顔を送ります。お次はパスポートの写真。こちらもキレイに撮って、送信。これで代表者の認証はおしまいです。このあと数日かけて、資本関係などの細かい会社情報を調べるようです。TAMLOの場合は一日で返事が戻ってきました。「外国の会社から資本が入っているけど(TAMLOの場合、親会社のTAMのこと)、その会社の主要株主のパスポートと株式のシェア情報をデータで送ってー」という内容。言われるがまま必要な情報をPDFで送って、4日後に「開設完了」との報告がありました。ね、簡単でしょ?

 

ちなみに一点だけご留意を。2017年7月現在、「Tide」はIBANコードをまだ持っておらず、日本からの国際送金ができません。近いうちに取得するという情報を得ていますが、注意が必要です。また、蛇足ながら「My Cash Plus」についても一言。こちらはNatwest銀行と提携しておりIBANコードを持っていますが、今のところ日本からの国際送金は不可のようです。

 

会社設立まで、かかった期間は約1ヶ月半

以上、簡単にイギリスでの会社設立における流れをざっとみてきました。われわれはリサーチに数ヶ月かけましたが、会社設立を決断してから全ての準備が完了するまでの期間は比較的短かく、およそ1ヶ月半でした。民間のコンサルやサポートサービスなども一切使っていません。全て自前で完了させました(そして、今の時代はストレスなくそれができる!)。正直、これほどスムーズに行くのかとやや拍子抜けではありましたが、オンライン登記やフィンテックによるテクノロジーの進歩のおかげで数年前に比べても格段に障壁は少ないと感じました。

 

TAMLOではリサーチからプロモーション施策に至るまで、皆様の英国進出のお手伝いができればと考えています。ご不明点などありましたらお気軽にお問い合わせください。ともに英国と日本の架け橋となりましょう! お問い合わせフォーム>>

 

※2017年7月現在の内容です。情報には正確を期しておりますが、実際に英国で会社を設立される場合は御社で十分な調査の上、手続きを進められることを強くオススメいたします。本記事の内容によって受けた不利益については、弊社は一切の責任を負いませんのであらかじめご了承ください。「ある中小企業の一例」とご理解いただけますと幸いです。