「直接流入を強化せよ」。2018年のウェブメディア運営について

ソーシャル偏重からのバックラッシュが始まる

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先日、マーク・ザッカーバーグが、自らのフェイスブック上で「出版社や報道機関(いわゆるパブリッシャー)に優先して、家族や友人のポストをフェイスブックのタイムラインに表示させる」という趣旨のことを表明した。

参照:マーク・ザッカーバーグのコメント

おさらいになるが、ウェブ・メディアの数字は、Google Analitycsにしたがえば次に挙げる4つの流入経路から構築される。

すなわち検索流入、ソーシャル流入、参照流入、直接流入だ。

(余談だが参照とソーシャルは記事拡散の過程において作られる数字なので、場合によってはカテゴリを同じに捉えてもいいと考えている。つまり、ソーシャルは参照の中に含まれるものであり、その意味では大雑把に「検索」「参照」「直接」の3つに分けられる)

ここ数年のトレンドとして、多くのメディアがソーシャル・参照からの流入を期待した記事の設計をしていたので、今回のアルゴリズム変更は彼らにとって大きな痛手となるだろう。とりわけSNSを使った記事拡散をメインの戦略としていたメディアにとっては死活問題だ。

では、今後、パブリッシャーやオウンドメディアは生き残りをかけてどのような戦略をとっていくべきだろうか。

参照:TAMLOの流入施策についての考え方(PDF)

 

直接流入の強化でアルゴリズムの支配から逃れよ

そもそもメディアの方向性や目的、読者のペルソナによって、目指すべき3つ(ないしは4つ)の流入経路のバランスは変わる。ニュースなどのフロー型の記事、鮮度の比較的短い記事を作るメディアは、今回のフェイスブックのアルゴリズム変更が契機となって、改めて方針を見直さなければならないだろう。この場合、直接流入をいかに増やすかが大事な戦略になると私たちは考えている。なかでもブックマークを誘うようなトップページの特集の充実や、メルマガの運用、サブスクリプション(購読)モデルの確立などが選択肢として出てくるだろう。あるいは、場合によって営業企画を充実させるということも手かもしれない。

一方で、フェイスブックのアルゴリズム変更に影響されず、しばらくはこれまで通りのやり方を押し通して問題のない媒体もあるだろう。例えば、SEO重視の課題解決型もしくは辞書型のサイトがその典型だ。しかし、忘れてはいけないのが、SEOもやはりGoogleのアルゴリズムに左右されるものであるということだ。少し前までは、アルゴリズムの盲点をついて急成長を狙うメディアの乱立もあったが、結局はそれが仇となって淘汰の過程にあるというのが現状でもある。この場合もやはり直接流入の強化について考えておかなければならないというわれわれの認識は変わらない。結局、検索であれソーシャルであれ、アルゴリズムに支配された土俵で戦うことには常にリスクがつきまとうのだ(参照も例えばキュレーションメディアのアルゴリズムに踊らされるという意味では同じだと思う)。

直接流入の増加は一朝一夕で達成できるものではないが、待ったなしで取り掛かるべき一手。そもそもユーザーを第一義に考えれば、これこそがメディアの本質とも言える。直接流入施策はロイヤル・ユーザーを醸成することにつながるからだ。

 

個人の力がさらに脚光を浴びる

一方で、矛盾したことを言うようだが、今回のフェイスブックの変更をきっかけにソーシャル偏重からの揺り戻しは起きるものの、すべからくソーシャル流入がメディアの勘定に入らなくなるということを予想しているわけではない。いわんや戦略としてソーシャルをあてにするなということでもない。冒頭のザッカーバーグの言葉に戻れば、今後、フェイスブックは個人の声を大事にしていく。すなわち、個人にフォーカスが当たることになるので影響力のあるオーサー(ライター)のプレゼンスはますます上がるということだ。ゆえに、ソーシャル流入はメディアの看板ではなく書き手の看板で獲得していくものになるかもしれない。これは、書き手にとってもコンテンツにとっても喜ばしいことだと思う。単価は上がり、署名つきのポストが増えるような循環が期待できるからだ。

駆け足にはなったが、まとめると、メディアのためにもユーザーのためにもこれまで以上に「直接流入施策の強化」を念頭に入れたサイトとコンテンツの設計をする必要がある。そして、コンテンツの制作にあたっては「インフルエンシャル・ライターとの共同作業」が2018年のメディア運営のキーワードとなりそうな気がしている。

参照:個人に光が当たる時代。Talent Is King という考え方について(ブログ)

 

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YUICHI ISHINO